グロムに乗ってる

2年間だよ、2年間。乗れば乗るほど湧いて出てくるグロムの魅力に惹き付けられた2年間。今回はそんなグロムの良さや思ったことを書いていこうと思う。

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ご尊顔。なかなかの良い顔。

まずこのバイク何が良いって、子供みたいに不思議がたくさん詰まってるのが非常に良い。乗った当初は「何でココってこんな感じなんだろう、変わってんな」の連続だったけど、乗りながら意味を考えてみると「なるほどな」に変わっていく面白さ。

例えばサスペンションなんかそうだ。特に前側がビックリするほど柔らかい。60km/hで田舎の荒れた道なんか通ろうものなら、スプリングが底付き寸前に縮み、ハンドル周りの感触が歪み始める。思わず「何だこのサス大丈夫か?」って不安になるくらい。

でも、砂利道を4,50km/h走ってるときに気がついた。「動き過ぎることが逆にいいんじゃないか?」って。

大袈裟に動く車体に対し、カラダを上手く使って力ずくで走り抜けたり、暴れるギリギリのスピードを探って出来るだけ綺麗に進んでみたり、このサス自体をアトラクションとして楽しめばいいのかなと。

で、実際にそう意識して走ってみると、楽しかった。多くを受け止めてくれるワケでなく、多くの衝撃をライダーに伝えるワケでもない。乗り方1つでバランスが取れるしワザと崩すことも出来る。まさに乗り手次第、それが分かってから面白くて面白くて。

それとエンジンなんかも偉く不思議だ。ロードスポーツと銘打っているのに構成が4速mtの変速方式。乗り初めは「5速あったら・・」なんて思ってた。なぜなら多段ミッションと頻繁なシフトチェンジがバイクにおけるスポーツだとオレは信じてたから。

そんなスポーツとは程遠いグロムに対して疑問に思い、搭載されてるエンジンについて少し調べてみた。すると元はビジネスバイク用だったことが判明。

多少パーツの変更はあるらしいが実用重視の血統はそう変わらないハズだと踏み、蹴りだしが強くなりかける部分を駆使しつつ早い段階でシフトアップしてみた。波風立たぬ落ち着いた挙動を感じながら、ふと目をメーターに落としてみると4速で50km/h程度。全くと言っていいほどスポーティーではない、数字では。そう、数字では。

オレ思うんだけどさ、さっき書いてたサスペンションの味付け、そしてこのエンジンのテイスト。もしかして「バイクのスポーツ」ってコレでもあるんじゃないかって。

つまり、グロムを定義している「ロードスポーツ」という言葉の意味には、バイク自体が持つスポーツ性能(馬力などの数値)だけじゃなく、人馬が組み合わさったときに生み出される乗り手の成長も含まれているハズだと。

ライダー自身が問題に取り組み、試行錯誤を繰り返し、未知の楽しみを開拓しながら、新しい考え方として確立する。それも立派なスポーツな気がしてならない。

もしこれがスポーツじゃなかったとしても、この姿勢はバイクが変わろうと色褪せずに残り続ける一生モノの体感であり体験だと考えてる。確かなこととして物事の方向としては良い向きを示しているのは間違いない。

こんな流れが自分の中で生まれたのも、グロムが分かりやすく指差してくれたからこそ辿り着けた境地だ。凄いぜグロム!

と、一見不思議だと思っていたグロムに日を追うこと2年間も惹き付けられ、たまに教えられたりと大変貴重な時間を過ごしてきた。これを面白いと言わずになんと言うか。
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小さくて面白い、小さいから面白いのか?

 

それともう1つの面白さが、上に書いたみたいに面倒クサイ考え方をしなくてもグロムは非常に楽しみやすいということ。

小回りは効くし、60km/hは出るし、燃費も唸るほど良いからガソリンを気にせずガシガシ走り回れる。とにかく難しいことは気にしなくて良いバイクではある。

そして外装デザインの良さとカスタムパーツの多さ。自分だけのバイクを作るのは比較的敷居は低い。

走りも楽しいし、降りても楽しめる。スゴいバイクだと思うよ、グロムは!

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何でもない砂利道も、グロムで走れば壮大なアドベンチャーに様変わり。大変だけど、それがいい。

 

・・・ここで綺麗に終わればいいけど、まだ書く。それは気をつけなければならないことだ。

前述の通り、良いバイクであることは変わりないグロムだが、もしその言葉だけに乗っかって購入を検討している場合はレンタルすることをオレは強く薦める。大きな間違いを起こさないために。特に免許取り立てとか久しぶりに乗る人に向けて。

あのー、まあ、このグロムって乗り物は小排気量の割には振動が大きい。それを筆頭に単純な走行性能はバイク全体の中では低い。ぶっちゃけた話、アラを探せばいくらでも出る気がする。

感じ方は人それぞれだから何が良くて間違ってるとかはないけど、1つ言える事として「物事に対する目線合わせ」、もっと言うなら「コイツも頑張ってるし、オレも頑張るか」の精神は「グロムを楽しく乗る」にあたって必要かもしれない。

そこいら辺の小学生が因数分解を解けないのと一緒で、グロムへの認識、良い接し方求め方というものがある。ココは良く出来てるけどアソコの出来は悪い。それは個性を求めた以上、絶対付きまとってくることだ。特にグロムみたいな尖り気味のコンセプトを持つバイクは。

決められた枠の中で1つ要素が飛び出さそうものなら、そのぶん他にシワ寄せが来ることは道理だ。特に原付みたいに枠が小さければ小さいほどこの要素は大きく関わってくる。

それをキチンと理解し、決して頭ごなしに出来なかったことを否定せず、むしろそんな部分を様々な方法の中からどうやって補うことが出来るかが「グロムを楽しく乗り続けられる」に直結する。

そもそもバイクに乗ること自体がバイクとライダーの補い合いだ。中でもグロムはライダー側の働きかけが多い。補う機会が何度もあるから、仕組みに触れやすいと捉えることも可能ではある。

可能なんだろうけど、やっぱり人によってはそれがメンドくさくなったりしちゃうのかも。で、段々乗らなくなって・・みたいな。悲しい話だ。

そういった結末にならないために「頑張り合うか」の気持ちは大事なんだ。

乗り手が頑張りすぎるでもなく、バイクに対して一方的に要求ばかりしない。それを意識の下地に持つことが必要だ。だってバイクもライダーも神様ではないから。

じゃあ具体的にどうすればいいのか?例えば他のバイクと比べるのを止めてみたり、出来ることを褒めたり、出来そうにないことを一緒なら出来るようにするとかとか。

かなりの手間ではあるが、手間である分その先に強い愛着が待っている・・いるね!ていうか手間も楽しみに変えちゃえよアンタみたいな。

そうだね。薄くしっかりとした土台の上に、世話が焼ける冗談ギリギリの遊び心が満載。それがグロムだよ。そう考えると本当に子供みたい。

大型バイクとしっかりとしたオトナの付き合いも良しだけど、グロムと一緒に良くも悪くも大きく心を揺さぶられながら通勤なり休日を過ごしてみるのも良いと思うな。

うーん、でもお金と時間を使いながらワザワザ頭を抱えるようなバイクに乗るのも変な話か。しかし所有するには贅沢なバイクよなグロムって。

・・だんだん話が散らかってきてるから、まとめると。

イクライフにおけるステップアップの初段目でもカスタムありきの存在でもない、ありのままでもキラリと輝く独特の面白さ。そしてそれを強く感じさせる車体1つ1つのパーツに込められたメッセージ性。

それらを丁寧に受け止め、考え、動き、少しずつ乗りこなしていく。そんな「メンドクサい」を存分に楽しめる面白いバイク。それがグロム。

まあそんなバイクかな。

物は試しに1回乗ってみなって。意外と「良い!」って感じるかもよ?だって、こんな場末のブログを最後まで見てるくらいアナタはグロムのことが気になってるんだからさ。きっと。

おわり。