おっさん

おばさんは話すと面白いが、おっさんは見ているだけで面白い。比較的の話ではあるが。

ついさっきの出来事だ。自分とは対向の空き地で原2スクーターを脇にスマホを弄っているおっさんが居た。

蛍光塗料が多く使われたウェアにツバの付いた白いジェットヘルメットを見に纏う、典型的なおっさんライダーだ。

しかし、良く見ると頭頂部にAraiの文字がプリントされてたり、スクーターにはロングスクリーンやリアボックスに社外マフラーが取り付けてある。要は金をかけてあるところはかけてるライダー、でありおっさんだった。

そうなると果たしてあの人は嫁さんから授かった小遣いでコツコツ理想を積み上げていったのか、それとも独身貴族で初っぱなからフルカスタムしたのだろうか。

そもそもあのスクーターだって通勤用のサブバイクなのか、重さや速さに飽きた末の悟りバイクなのか、ガッチガチの最前線ファーストバイクなのか、おっさんが内包している時間がコッチの想像を膨らませる。若者ではこうは行かない、手数の量が違う。

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「いったいどっちなんだろう…」と考えながら歩を進めコンビニを通り過ぎようとすると、真っ赤なオープンカーが駐車場に停まろうとしていた。

ドロドロと異様に低い排気音から察するにマフラーを換えてある。物好きなおニイちゃんがローン組んで大切に乗ってるのかなと決めつけると、ドアからは優しそうで清潔感のある細身のおっさんが出てきた。

あっさりとした風貌をバックにギラギラとした趣味全開の愛車。一瞬ミスマッチだと思ったが、本人からすればあれこそが自分であり、譲れない揺るがないポイントを持っている思うと彼はかなり心が燃えてるおっさんだ。もしそうなら失礼なことを考えてしまった。

しかし、これだけのクルマだと家に帰るたび「なんでこんな人も荷物も乗っかんねえの買ったかね」と小言を言われてたりして。イヤ、年齢的に「献身的な人だから1回くらい好きなの乗させてあげるか」の1台だったして。

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本当のことは全く分からない。だからといって知ろうともしない。正解でも不正解でもどっちでもいいのだ。暇潰しなんてそんなものだし。