マシンの買い換え時期

 

「悔いの無いよう、最後まで使いきらなきゃ」

 

TVアニメ版パトレイバーの最終話、主人公が自分のマシン「イングラム」にそう誓ったのよ。

この主人公の人となりを話すと、1話で出会ったそのマシンに今までの愛猫や愛犬に名付けてた「アルフォンス」という名前を登録しては、手の空いてるときに自分で外装を磨いたりと、とにかくイングラムに並々ならぬ愛着を持っている人だ。

そんな中で隣の部署に最新鋭の機体「AV-0」導入され、成績を上げ続けて新聞にまで載り、組織内外で存在が認められていく。つまりこのまま行けば、ゆくゆくは自分の部署にもソレが割り振られて「アルフォンス」とはお別れになると。

愛してたモノと離れてしまう。モヤ付いた気持ちのまま、休暇で実家へ帰り、自転車で2代目のアルフォンスの墓まで赴き「なぜ自分はこんな思いをしているか」を掘り起こして思い出し、それでも前へ進むことの大切さを胸に秘め、帰って最初の事件現場で放ったセリフがあの言葉だ。

コレってさ、バイクとかクルマでも言える大切なことなんじゃないかな。流石にストーリーそっくりそのままとは言わないけど、サンデーライダー程度までに話を落としたら何となく分かると思う。

買った当時は自分のマシンが一番だと思ってたけど、最新の機種がトラクションコントロールやクイックシフターが付いてて、他のメーカーにも刺激的なエンジンが積んでいるから自分のマシンが劣って見える…なんてことはザラにある。

「自分の中の良い」より「メーカーが出すマシンの良さ」がパフォーマンスで上回って、物珍しさで買い換えたくなる…なんてこともザラにある。

別にそれが悪いってワケじゃないけど、もう1つの方法として「愛着を持つことを愛す」っていうのも良いと思う。

世の中の知らないこと、凄いことを体験することは自分の身になるし素晴らしいことだと思う。

でも、対象が物体でそればかりを追い求めてるとしたら、少し残酷だよね。例えばコレが人だったとすると分かりやすいかも。

「あなたが作った料理が好きだったけど、もう飽きたから明日から連絡もしてこないで」

「あなたと一緒に遊ぶの楽しかったけど、違う遊びが好きになったから来週からはいいや」

これらに近いよね、恐ろしい。

もちろん好奇心のままに買い換えしても何の罰もないけど、「なぜそう思ったのか」「対象への気持ちは本当に切れたのか」をもう一度確認してからでも全然遅くは無いような気がする。

それに今の連れ合いに対して、誠実さを持って注力も出来ず「金ならあるから」「ちょっとココが嫌だから」などと軽はずみに新しさへお手付きしてしまうのは、次のマシンにも失礼だと思う。

でもこんな感情だって実際に買い換えてみないと良くも悪くも強く実感しないものなんだろうけどね。

たぶん新しいマシンで壁にブチ当たったとき「何でアレ手放しちゃったかな」って思った時点で、買い換えるのは早かったんだろう。

そして同じ壁でも「あぁコレだとこんな風になるんだ」って思えたら、後腐れの無い前向きな別れ方が出来たんだろうと考えている。

だから手元のエブリイに便利な運転支援システムが付いてなかろうと、R25とGROMには今や義務化されてるABSすら付いてなかろうと、自分が好きである以上はキラキラしている周りに目もくれずに楽しく乗ってやろうと思う。悔いの無いよう、最後まで使いきる為に。