グロムと4年

毎年毎年なんとなくの雰囲気で6月に書いてたけど、グロムが手元に来たのって4月なんだよね。

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ヒトの誕生日だったらとんでもないことで、1月なのに3月に「おめでとう!」なんて言われてもハァ?ってなること請け合いなワケで…今回は月を間違えずにちゃんと書きます。

 そんなグロムね、まず飽きない。

よくある外観とか経済性とかそういうのじゃなくて、乗り味に深く入り込めるの。何がどう動いて何処が悪くてギッタンバッコンしてるのかのヒントが多く、好奇心を常に煽ってくる楽しいバイクなのよ。

ブレーキ踏めばイヤってほどサスは縮むし、アクセルをしっかり回さないと普通車に抜かれるし、逆に雑すぎると車体のバランスが崩れるし…基本的動作+αの創意工夫を求められる面白さがある。良い意味でスキのあるバイクってヤツ。

そしてそれを各オーナーはどう解決していくのかも見物で、ハイグリップタイヤやオーリンズブレンボ履かせて落ち着かせるのか、そこそこのパーツ掻き集めてアクセルブレーキワークを考え落とし所を見つけるか、それとも…どれが正解ということは無いが、そのヒトのグロムを見れば根本の考え方や取り巻く環境が分かりやすい。

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「らしさ」を求めるか「なのに」を求めるか、どちらにせよ「何かやろう!」と情熱を持てる、希少なバイクだ。

逆に言えば、最近の利口なバイクみたいに「色々お願いします!」って任せちゃうと痛い目見る。ラクはさせてくれないかな、楽しいけど。

オレ?オレはね、「らしさ」寄りかな。

基本的には純正を履き潰す。見え辛いミラーと滑るタイヤは安全上交換するとして、まずメーカーの答えを飲み込まない限りはバイクとの距離は縮まらないからね。

それをするには出来るだけ生まれたままの状態で接するのがベスト。何も理解しないままイジるだけイジくり回したら、本来の良さがスポイルされる可能性だってあるし。

あとこれは超個人的な考え方で、リアルでワザワザ口に出さないし、見かけても「その人の考え方だからな」とスルーすれば良いだけの話なのを前提にして書くけど、簡単にポンって作った「なのに」のギャップってあんまり好きじゃないんだよね。金額とか境遇とかそういうので。

例えばグロムを取り巻く話を仮定してみる。

「グロムのカスタムに30万注ぎ込んだ!」その程度のカネなら働いてれば誰でもいつかは持てるじゃん。個性や迫力を札束叩いただけで手に入れて満足してるのか?自分が手掛けたならまだしもさ、と思う。

「グロムに乗る10代です!」跨がれば年齢性別なんか関係無いじゃん。若くて珍しいねって言って貰いたいのか?と思う。

こんな考え方だからってのもあるんだろうな、「らしさ」寄りなの。「なのに」は一歩間違えれば「薄っぺらさ」に変わる。そりゃそうだよ、元と違う味に変えちゃうんだからさ。踏み出す勇気と「なのに」側のパワーがオリジナルを飲み込むくらい大きくないと貧相な見栄えになるんだよな。

それにオレ自身が何でもない人間だから、どう頑張っても十中八九フリに負けてポッと出のギャップ程度のクオリティになるのも分かってるし、考えたこともなかったな、そっち側に入り込むの。

…オレはいったい何の話をしてるんだ?次に行こう次に。

あとは、ちょっと話被るけどグロムってトレーナーなの。大きい排気量、それこそ250ccでも性能に身を委ねて走ることがあるけど、このバイクはそういう誤魔化しが一切無い。自分の実力がモロに出る。

先を見通しての走る止まる曲がる、グロムに乗ると基礎をまず叩き込まれる。過信が生まれず過剰な手助けが無い中で、心の贅肉を削ぎ落とし地面の上をサバイブする。

しっかりアクセル回して、早め早めのブレーキ、対向車などのマージンを充分に取りながらコンパクトに曲がる。当たり前を半強制的に繰り返させられるんだけど、当たり前って楽しくてセーフティなんだなと思い出させる乗り物なのよ。

色々バイクは乗ったけど、これほどモーターサイクルの特徴を素直に分かりやすく教えてくれるバイクは中々見つからない。「遅くてもいいんじゃない?」と諭すこともなく「速く走ろうぜ!」と焚きつけることもない、中庸で自然な立場で居てくれる有難いバイクですよ。

オレ自身グロムと出会うか出会わないかでその後が大きく変わってたと思う。出会ってなければ今ごろ大型バイクの高性能に甘え、溺れてたんじゃないかな。

高速道路は走れない、身体が小さいからナメられるときもある、それでもそばに居続けて欲しいバイク、グロムはオレにとってそういう存在だ。

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まあここまでの1年は色々あって乗れない日が多かったけど、距離を置いたからからこそ見えてきたモノもあったりして、つくづくバイクの面白さって尽きないなと思わされたグロムとの3年目でした。

 

おわり。