新車購入の美学

オレの家族、というか一族はクルマやバイクが大好きで各々が譲らぬ美学を持っている。

週1回は必ず洗車を行う、タイヤは純正のみ、グレードは絶対に最上級…などなど何通りもあったが、1つだけ共通項があった。

  

イカーを新車で一括購入してることだ。

 

どうやら中古は就職や起業したてのときだけで、それ以降は全部新車。絶対に話が長くなりそうなの承知で、まずは母に踏み込んで聞いてみた。すると

「単純にローンが嫌い。それに新車は紙で分からない使用状態を全て把握出来るのが良い。同じオドメーター1万キロでもスムーズな走行してたのと渋滞だらけじゃ傷み方のワケ違うでしょ?」

と返り、叔父に聞くと

「お前は嫁さん頂くときの結納金を分割で支払うのか?そんな男居ねえだろ?物も人も同じ、何事もそれ相応の気持ちを持って接するのが大人のマナーなんじゃねえの?」

と何故か詰め寄られる。いとこにも聞いてみた。

「甲斐性の問題。旧車限定車は別として、現行車なら妥協はしない。好きなのに安さだけで中古を選んだり、好きなのにたかだか数百万すらまとめず先に快楽だけ得ようとする気骨は愚か。」

もう怖い。なんか目が据わってるし。親戚にも聞いてみた。

「好きだからベストを尽くすだけ。それとメーカーやディーラーへの誠意でもあるな。お前もいつかは互いの風通しが良い買い物を出来るようになりなさい。」

ビッカビカに磨かれたクラウンマジェスタに背もたれながら励まされた。超カッケェけど、値段が違うだけでオレも新車一括派なのよ。

他の人にも聞いたけど、皆こだわりというか愛が強すぎてヤベェ人になってた。

もちろんオレにも考えがある。お金を貯めて悩んでる期間が楽しいとか、気に入った乗り物を長く乗りたいからベストコンディションの新車を選んでる、レベルの思考だ。

でもアレなのかな、そういう考えをキッカケとして20年後くらいには皆みたいになっちまうのかな。血筋的に考えて…