馴染み溶け込んでく

まあエブリイのことなんだけどさ。

走行距離10000km弱にして、エンジンがすっげえ良く回るようになった。

レスポンスが特別鋭くなったワケじゃないけど、立ち上がりからスムーズに回転し、常用域からでもグッとターボが丁寧に乗っかる。購入当初は全体的に緩やかで、いくらかマージンを持たせた「色気は無いけど頑丈そう」な商用的イメージだったけど、もうその枠からは抜け出してる。

言うなれば「元々あった扱いやすさに磨きがかかり、そのうえスポーツ味を感じるエンジン」に仕上がっている。

ギアボックスも1,2,Rに変な硬さがあったけど、今は適度なギア感のある手応えになった。3,4,5なんかは数字順に軽くなってく。シフトアップもダウンも各々感触とギア比の離れに味があるから全く飽きない。走れば走るほど際立ってきてるからドライブが楽しくて楽しくて。

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…新車ってだからイイんだろうな、時を共にして自分のクルマになっていく感じが。ボヤケた輪郭が走り込みで削られ段々ハッキリしていくのを見届けられるのが。そしてその細微に自分の気持ちが存在するあの唯一無二感が。

3速の伸ばしグセ、クラッチ板の磨り減り方、シートのヘタり。ただ走るだけなら気にならない程度の細かい所の1つ1つを大切に、自分に馴染みやすく仕上げる気持ちや調律の過程はワンオーナー目じゃないと味わえないんだよな。

そう思ったのも、つい先日実家で料理を作ったの。その時に親の包丁を使ったんだけど、まあ白菜の1番下の段が切りづらくて。

刃の入れ方や滑らせ方を工夫して何とか切れるようになったけど、意識的に取り組まないといけないからやっぱり大変。母に聞けば20年物だとか。そりゃその人の型になってるわ。

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それを通じて同じクセ付く物の扱いでも「クセに慣れる」のと「クセを作る」のでは全然違う気がしてさ。当然色んなことに自分が適応出来るのは素晴らしい経験だ。

でも豊かな生活や命に関わることに対してイチから自由自在に動かし変化の享受をするのは、物作りへのリスペクトや奥深さを近い距離で感じやすい。それに伴って「物への扱い」対して意識が変わるから、人生長い目で見ると得るものはかなりデカい。

なんつもない箱グルマであるエブリイでも新車に拘って良かった。まさかこんな良さがあったとは。素朴なクルマを通して、ダイレクトに「自分の道具を作り上げる」「道具を長く使い理解を深める」ことの大切さをこれからも噛み締めていこうと思う。