すっげえイイ。
何がって、運転する手ごたえ足ごたえがしっかり分かりやすく感じ取れるからイイ。ひとことで言うならダイレクト。
アクセル踏めばエンジンが重だるく回るんだけど、トランスミッションが盛り上がりをギリギリまで待ってくれてて、伸び切ったらサクっと変速する。
当たり前のように思うかもしれないけど、この感覚ってオートマだと中々無い。
エンジンが大き過ぎると、パワーがあるからあまり回さずにサッサと変速しても法定速度的には成立する。
逆に小さいと、とにかくチャキチャキ回すけどギア同士が離れててチグハグになることが多い。
聴覚とスピードから生まれる違和感か、余裕と引き換えに失うダイレクト感か。どっちに転んでもオートマは「面白い」とは程遠いものだと思っていた。
しかし、今回のMINIはエンジン特性と「変速したい!」って思うタイミングがビッタシ。
予め作られたオートメーションの中に「最初は重だるくても回すと速いんですよ」「でも緩やかに踏んでもしっかり変速しますよ」の両方の意思が吹き込まれている。その中でお互いの強弱の幅をお互いが理解し、入力がモタついても過敏になってもエンジンとギアがマナー良く譲り合い、オーナーを丁寧にもてなす。その姿はまさにイギリス紳士。
もうね、その仕事っぷりには感服した。自動MTと言っていいね、アレは。
ハンドリングもすっげえ良い。身体が小さいってのもあるけど、情報が豊富で楽しい。
ハンドルを回した時の重さとタイヤが摩擦してる感覚に連続性がある。流石にパワステレスほどではないが、曲がることによって起こる車体からのフィードバックと普段使いする場合の利便さの丁度いいところを突いてる。
デジタル過ぎずアナログ過ぎない、腕時計でいう自動巻きに通ずる「便利だけど少し手間をかけさせる」感じがオレにハマった。
あと内装。間近で体感してビックリした。
メーターが綺麗だと心が安らぐ。色んなクルマ、それこそ最新の発色鮮やかなTFT液晶から電卓みたいなモノまで触れてきたけど、コレが1番良い。
豪華なワケじゃない、質素なワケじゃない。というかそういう次元じゃない。
メーターを隔てても景色に溶け込む柔らかさと、計器としての情報を分かりやすく最低限に抑えて混ぜ込むデザインは仕事の出来るお洒落さん以外の形容が出来ない。
警告とか機能表示とか、動かすとやたらとチカチカしてしまう現代車では考えられないような落ち着いた空間づくりがされている。
今までクルマの機能ばかりに目が行ってたけど、今回乗って分かった。内装は大切だ。何でもありゃ良いなんて簡単なモンじゃない。キャラクターを視覚的に捉える重要なファクターだと。
重だるいけど回れば楽しいエンジン、手応え満載だけどクイックなハンドリング、そしてリラックス空間を演出する内装。どれもこれも真面目な日本車では1度に味わえない、余裕や遊びを感じられた1台。
正直外車はコストやアフターサービス的に敬遠してたけど、あれだけ乗る人を豊かにするなら手元に置きたくなるな、と感じた三が日最後の夜だった。